ここ数年で、インサイドセールスという言葉をよく耳にするようになった方も多いのではないでしょうか。「インサイドセールスとは、非対面での営業活動」「インサイドセールスとはナーチャリング(見込客育成)」など言われ、同様の記載があるページも散見していますが、机上の理論ではなく、実際的に何を行えばよいかという解や全体像が提示されているケースは稀です。このページでは、インサイドセールスの全体像の解説と実行の道筋を示します。ぜひ、貴社のインサイドセールス導入にお役立てください。

1 インサイドセールスの普及の背景

一般的に広く知られているインサイドセールスの定義は、「電話やメール、時にウェブ会議などを駆使し、訪問せずに(非対面)営業活動を行うこと」と言われています。
これはあくまで業務のスタイルを表現しているだけで、最近はこれに加えて、非対面業務によって「見込客の育成(ナーチャリング)」を行うことだと認識されるようになりました。
インサイドセールス普及の背景には、「訪問営業の過渡期にあること」と「マーケティングの急速な進化」があります。

【訪問営業の過渡期】

―情報収集源の変化―

「営業は顔を出してナンボ!」「断られてからが営業だ!」「営業のコツはGNP(義理・人情・プレゼント)」 こういった旧態依然とした営業スタイルは、インターネットの発達以前は顧客から求められていました。サービスの詳細や他社比較などの情報収集の資源が営業マンとの商談しか無かったからです。しかし、現在は、誰もが様々な情報にアクセスでき、自社サイト以外にも口コミや比較サイトも充実してきており、他社情報も加味すると下手すれば営業マンよりも顧客の方が詳しい場合もあります。

―クラウドサービスの広がり―

フィンテック、HRテック、アドテックなど、テック系企業が台頭し、ウェブやクラウドを通じ提供されるサービスが主流になってきており、月額の低価格帯で、エリアに関係なく対応できるようになってきました。訪問営業主体であれば商圏が限られてしまいます。物理的に、御用聞き、挨拶だけのために訪問することができなくなっているということも訪問営業が過渡期と言える所以です。

【マーケティングの進化】

マーケティングの定義はさておき、「見込顧客の創造・発掘」と位置付けると、今のようにデジタルマーケティングが主流になる前は、飛び込み営業、ひたすらリストへのテレアポ、ビラ配り・・・と営業部がその役割を担っていました。その後、SEOやリスティング広告、今では、マーケティングオートメーション(MA)により営業部隊とは切り離されて戦略立案・実行がなされることが多くなりました。データの蓄積も、営業マンの頭の中、紙やエクセルでの管理ではなく、CRMを導入する企業も増えています。

この2つのビジネスシーンの変化によって、企業のセールス&マーケティング活動が進歩していることは間違いないですが、ある課題が生じています。

それは、マーケティングとセールスの乖離、マーケティング強化を行えば行うほどに深まる溝です。

2 マーケティングとセールスの乖離

多くの企業の両部隊の役割は以下です。マーケティング部隊の大きな役割は、マーケティング活動(広告出稿やコンテンツマーケティングの強化、展示会出展など)によって生み出されたリード(見込客)をセールス部隊に渡すこと。そして、このリードから成約を生み出すことがセールス部隊の役割です。伴って、今までの「営業マンが自分の給料の3倍稼げばいいんだ!」という属人的かつ気合と根性の指標から、CPL(リード獲得コスト) / CPA(顧客獲得コスト)いったROI(投資対効果)の効果測定を図る指標へと切り替わっています。

実は、この2つの区分けだけだと、リード創出をすればするほど、成約率は下がります。なぜなら、マーケティングからセールスにトスアップされるリードの定義が曖昧、かつ見込度合い(ステータス)が低いからです。例を見てみましょう。

【ケース1】展示会で獲得した名刺情報をそのまま渡している

このケースは、容易に、このリードだとアポにも繋がらないとセールス部隊からクレームが言い渡される姿がイメージできます。

【ケース2】自社サイトから資料ダウンロードや問い合わせがあったので見込が高いと判断しトスアップする

一見すると、セールスに引き渡すには充分な条件ですが、この状態でアポイントを打診しても断られる率の方が高いです。単なる情報収集であってニーズや予算が無い、そして何より決裁者クラスではない場合がほとんどです。

【ケース3】MAにて、スクアリングが高くなったので、セールスに引き渡す

一部の先進的な企業は、MA(マーケティングオートメーション)を導入し、サイト訪問者の動向をデータ分析し、スコアリング(独自の見込度合いの設定)を行い、点数が高くなるとセールスに引き渡します。非常に合理的のように思えますが、ケース2よりはマシという程度であって角度の高い商談にはなりづらいです。

これら3つのケースは、ありがちですが、重要な点は、どれだけシステムが進化しても、ITを通じたマーケティングの限界は、one of them (一対多数 / 一方的)であるということです。MAのスコアリングが高くても、その見込顧客が、他にどの様なサービスと比較検討しているのか、どの様な課題を抱えているのか、導入時期や決済フローなど、いわゆるBANT情報(予算・決裁権・必要性・時期)取得の正確性は低いです。これらは、one to one (一対一 / 双方向)のコミュニケーションでしか把握できない情報だからです。デジタルマーケティングの特性上、狭く深いコミュニケーションには適していません。

その結果、セールス側から「もっと有効商談の機会が増えるかと思っていたのに、対応しなければないリード数だけが増えて、結局は自分達が顧客情報のヒアリングを行わなければならない。手間ばかり増える。」という意見が生じてしまうのです。経営者も、マーケティング強化をしているのに、成約率は上がらない、効果が無いのではと疑念を抱き、これなら今までの足で稼ぐ営業スタイルの方が結果が読みやすくて良いと後戻りしてしまうことさえあります。

マーケティングの進歩によって、より多くのリード創出が可能となってはいますが、このリードの精査、整理、育成を行わずに、セールスに引き渡してしまっていることが、両部隊の溝を深める原因となっているのです。この責任は、マーケティングにあるのか、セールスにあるのか、どちらにあるのか明確になっていないのです。

3 ハブとなるインサイドセールス

マーケティングとセールスの融合こそ、インサイドセールスの最大の価値です。マーケティングにて創出されたリードを管理、育成し、セールスリードを生み出し、セールス部隊へ有効商談の機会を提供することです。インサイドセールスと区別するために、商談、クロージングを行うセールス部隊をフィールドセールスと呼ばれることが多く、インサイドセールスは、このフィールドセールスのバックオフィス的な位置づけに捉えられることがありますが、本来は全く違います。

マーケティング部隊かフィールドセールス部隊か、どちらに紐づくのがインサイドセールスなのか、という議論がなされることもありますが、どちらの配下でも無くインサイドセールスは一つの独立した部隊なのです。

  • マーケティングによって生まれるリードをステータス毎に整理し、ステータスが上がるように育成する
  • そのプロセスをCRMに蓄積しデータ分析を行う
  • BANT情報が取得できた段階で、フィールドセールスに引き継ぐ
  • フィールドセールスが失注した場合は再度インサイドセールスにて育成を行う

上記のように、デジタルマーケティングでは実現できないone to one (双方向)のコミュニケーションを行うことで、有効商談数を増やしフィールドセールスの成約率を高めることがインサイドセールスの価値です。この様に、インサイドセールスがハブにならなければ、リードが増えれば増えるほど成約率が下がりますが、インサイドセールス部隊を設立し、マーケティングとフィールドセールスのハブとすれば、成約率は劇的に向上します。

4 インサイドセールスの4つの役割

有効商談の機会を増やし、成約数を向上させるために、インサイドセールスには、4つの役割があります。

  • マーケティングとの連携

    インサイドセールスはテレアポと違い、一方的な都合でアポイントを打診しません。相手の状況に応じた対応を行っていき、基本姿勢は、顧客の課題解決に役立てないかという奉仕の精神です。言い換えれば、コンシェルジュです。そのため、顧客のダイレクトな声、課題やニーズをヒアリングすることができます。その声をサービスに取り込む、各種マーケティング施策に反映し、本当に顧客に求められる価値や情報を企業が届けることができます。顧客と直接接するインサイドセールスだから成せる大事な役割です。

  • リードマネジメント(リードナーチャリング / クオリフィケーション)

    多くの企業は、HPなどから問合せがあると、ホットリード(見込が高い)と判断されフィールドセールスに引き継がれます。しかし、近年は顧客と企業のファーストコンタクトがより容易に、より早いタイミングに移行しています。そのため、問合せ=ホットリードではなく、単なる情報収集段階ということが常です。フィールドセールスに引き継がれる前にインサイドセールスにて、リードクオリフィケーション(見込顧客選別)を行い、見込客の情報が少なくステータスが低いと判断された場合には、BANT情報の確認などヒアリングを実行しリードナーチャリング(見込顧客育成)を行います。この様にリードマネジメント(見込顧客管理)全体を実行することがインサイドセールスの中心業務となります。

  • CRM実行(データベース化)

    インサイドセールスを推進する上で必須のシステムがCRMです。最近はクラウド型CRMが主流になってきており、導入する企業も増えていますが、まだまだ対応履歴のログ程度に終わっているケースが散見します。インサイドセールスによって、顧客との対応履歴や基本情報(会社概要などのプロフィール情報)はもちろんのこと、各ステータス情報(BANT情報などのプロファイル情報)やステータス毎の移行期間、移行率などをデータベース化(DB)していくことが非常に重要です。このDBが蓄積することで中長期的な売上シミュレーションを立てることができます。

  • フィールドセールスとの連携

    インサイドセールスを導入する一番の目的は、成約数のアップ、売上の向上です。インサイドセールスにてナーチャリングしたリードを、セールスリード(営業商談が歓迎されている状態)としてフィールドセールスにトスアップすることが最終的なインサイドセールスの役割です。また、フィールドセールスが商談を行い成約に至らなかった場合に、再度インサイドセールスにてリードナーチャリングを行っていくケースもあり、インサイドセールス=フィールドセールスの連携は、インサイドセールスの効果を測定する上でも肝となります。

5 インサイドセールスで成果の出やすい企業

「MA導入や展示会などによりリード数があるがセールスが対応しきれていない」

マーケティング施策に力を入れており、見込度合いはさておき、リードが増えてはいるもののフィールドセールスの対応が追い付いていない、フィールドセールスからもっと角度の高いリードを供給して欲しいと要求されているような場合、インサイドセールスは即効性を持って効果が出ます。

「セールスの新規開拓は強いがフォロー体制が弱く休眠顧客が増え続ける」

訪問営業が得意で昔から営業部隊が強い場合、どんどん新規契約が増えても、顧客フォロー体制が疎かになっている場合は多いです。インサイドセールスは、契約前の顧客だけではなく、成約後アップセル、クロスセル、アフターセールス(更新営業)においても強力に力を発揮します。

「スタートアップ企業や新規事業において、そもそもリードをゼロから作っていかないといけない」

全てがこれからというフェーズにおいてのリードジェネレーション(見込客創出)は広告投下よりも、インサイドセールスを行う方が確実に成果を見込めます。リードナーチャリングだけではなく、リードジェネレーションからインサイドセールスを取入れることも可能です。

6 インサイドセールス企画立案における3つのポイント

  • 経営手法としてのインサイドセールス

    インサイドセールスのプランニングは、中長期(少なくとも3年程度)の経営計画を照らし合わせて行います。インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスの融合ですから、その計画立案自体がマーケティング企画立案、営業企画立案を含みます。

  • ステータス毎におけるプランニング

    インサイドセールスを実行する上でステータスごとの定義が非常に重要になります。そして、各ステータスで実施する項目を緻密に計画する必要があります。テレアポのように単に、トークスクリプトを作ってひたすら架電ということではありません。

  • チャネルミックスによる顧客接点

    インサイドセールスはコール、メールが主な顧客接点チャネルですが、マーケティングと連動してウェブ、セミナーや展示会、フィールドセールスと連携して商談、それらを束ねるCRMのデータベース、近年はMA(マーケティングオートメーション)これらの全体の仲介者がインサイドセールスであることを踏まえてシナリオを作成する必要があります。

7 インサイドセールス部隊構築のための人選・3つの視点

インサイドセールスにおける企画立案後は、人選です。
大前提として、今までの営業部隊の人選とは大きく異なる資質のメンバーを招へいする必要があることを理解してください。

  • コツコツ、短距離走より長距離走

    フィールドセールスにおけるトップセールスマンの特徴は短距離型で、月末に数字が足りなければ契約をかき集めることができる。成果さえ上げていれば、あとは何をしててもOKという風潮がありますがインサイドセールスは、それでは絶対にNGです。顧客との継続的な関係性構築が大事ですので、毎日コツコツ、波が無く、一見すると地味な仕事でも顧客との会話を楽しみながら積み重ねていける特質を持っている人が求められます。

  • 個人主義よりチーム主義

    フィールドセールスにおいては、誰が契約を獲ったかが重要視されがちですが、インサイドセールスは誰が対応しても、均一なレベルが求められます。CRMのデータベースがあれば特に担当制を敷かなくても、いつでも、誰でも対応できるわけです。そのため、個人の数字よりも、チーム全体の助け合いや思いやりが持てる人に向いています。

  • プレゼン力よりヒアリング力

    フィールドセールスの商談は、いかに商品・サービスを魅力的に伝えるかがカギですが、インサイドセールスは、顧客から、困りごとや課題感を相談してもらうかが大事になります。そのため自分が話したいことを話すのではなく、相手に興味関心を示し、感情移入し、心から耳を傾け、顧客の声を聴けるヒアリング力がある人が活躍できます。

8 タクセルがインサイドセールスに込める想い

「スタートアップ企業の経営者や、既存事業の成長を望む事業責任者の方々へ」

短期的な売上数値だけでなく、中長期の売上UPや安定的な売上確保への貢献をインサイドセールスで実施しませんか?

スタートアップ企業に限らず事業成長を望むのであれば、今月の契約数値、来月売上状況は非常に重要です。一方で経営、ビジネスは短期的視点と中長期視点のバランスが求められます。
「目の前の数字ばかりで自転車操業的な日々」
「遠い未来ばかり描き足元は何も固まらない」 どちらも永続的な成功は望めません。

今すぐにニーズがあり角度の高い見込客への営業(向こう3ヵ月~半年程度の数字)は、 従来の営業組織(フィールドセールス)で。
半年~1年先の今すぐ客でない見込客と関係性を構築し、 フィールドセールスではカバーできない部分をインサイトセールスで。

この両軸の経営戦略を私たちは提案します。

短期的に刈り取るための無駄で非効率なテレアポをし、リストの浪費をせずに、
見込顧客を発掘し【リードジェネレーション】、
ステータスごとに分け【リードクオリフィケーション】、
育成していきます【リードナーチャリング】。
このフローを電話を駆使するだけでなく、メールマーケティング、デジタルマーケティングと併用し、CRMにデータを蓄積していきます。

この流れの構築こそが、インサイドセールスの導入です。
そうすることで、質の高いセールスリードが今までの3倍は増えます。
フィールドセールス部隊は、本当に価値ある商談にのみ集中できます。
自動的、かつ中長期的にセールスリードが供給され続けます。
それだけでなく、インサイドセールスは顧客の声をダイレクトに収集できるため、プロダクト開発が常にブラッシュアップされます。

インサイドセールスを取入れれば、中長期の売上UPや安定的な売上確保への貢献がなされます。

私は、今まで9年間、BtoBのインサイドセールス分野で活動してきました。
インサイドセールスの実務においては、数年間で全国5000社以上の新規顧客開拓とカスタマーサクセスを実行しました。
次のキャリアとしてインサイドセールス専用システムを開発する会社を設立し200社以上のインサイドセールス部隊の構築サポートも実施しました。

自信を持って言えることは、インサイドセールスにおいては、誰にも負けない情熱を持って鍛錬してきました。これからは、今まで培った成功体験も失敗体験も全て開示し、成長を望む全てのBtoB企業にインサイドセールスのノウハウを提供していきたいと思います。

ぜひ、御社のインサイドセールスにおけるパートナーとしてタクセルを選んでいただければ幸いです。

タクセル株式会社 代表取締役
田中 亮大